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不動産売却の査定根拠を解説

1. 不動産査定とは何か

不動産査定とは、「現在の市場で売却できる可能性が高い価格を根拠に基づいて算出すること」です。

重要なのは希望価格、購入価格、住宅ローン残高、これらは査定価格には直接関係ありません。

査定は「市場がいくらで買うか」だけを判断します。

2. 査定価格と売却価格の違い

私たち専門家は次の3つを区別します。

項目    意味
査定価格  売れる可能性が高い価格
売出価格  売主が市場へ出す価格
成約価格  実際に契約した価格

例えば

査定価格:3,000万円



売出価格:3,180万円



成約価格:3,050万円

というケースは珍しくありません。

3. 査定で最も重要な「市場価格」の考え方

市場価格とは「同じ条件の物件が、現在いくらで売れているか」です。

査定では

・過去の成約事例
・現在販売中の競合物件
・需給バランス

を分析します。つまり「近隣で似た物件はいくらで売れたか」が最大の根拠になります。

4. 査定の根拠① 成約事例比較法

住宅査定の約90%以上で使われる手法です。

・比較する項目
・所在地
・土地面積
・建物面積
・築年数
・間取り
・方位
・接道状況
・駐車場
・リフォーム歴
・学区

例えば近隣で

A:2,980万円成約
B:3,020万円成約
C:3,080万円成約

なら対象物件は約3,000万円前後と判断します。

これが最も信頼性の高い査定根拠です。

5. 査定の根拠② 公示価格・基準地価・路線価

土地価格を判断するときに参考にします。

〇公示価格

国土交通省が毎年公表

市場価格に最も近い指標

〇基準地価

都道府県が調査

地方市場の把握に利用

〇路線価

相続税評価額

市場価格の約80%程度

〇固定資産税評価額

市場価格の約70%程度

査定ではこれらを補助資料として利用します。

6. 査定の根拠③ 収益還元法(投資物件)

賃貸マンションやアパートでは「いくら利益を生むか」が査定価格になります。

例えば年間家賃収入

600万円

利回り6%なら

600万円 ÷ 6%=約1億円

という考え方です。

7. 査定の根拠④ 原価法(建物評価)

建物の再建築費から築年数による価値減少を考慮します。



新築価格3,000万円、築20年

建物価値

約1,000〜1,500万円

土地価格

2,000万円

合計

3,000〜3,500万円となります。

8. 査定価格を左右する物件要因

私たち専門家は以下のような項目を細かく確認します。

〇土地
・面積
・形状
・接道幅員
・方位
・高低差
・境界
〇建物
・築年数
・構造
・外壁
・屋根
・設備
・メンテナンス履歴
〇権利
・所有権
・借地権
・私道負担
・地役権

9. 周辺環境・市場動向の影響

査定は市場の状況にも左右されます。

例えば

・金利
・人口増減
・再開発
・駅整備
・商業施設
・学校
・ハザードマップ
・空き家率

これらは価格変動の大きな要因になります。

10. 売主が見落としやすい査定ポイント

〇査定価格が下がる要因
・境界未確定
・越境物
・雨漏り
・シロアリ
・違法建築
・接道義務違反
・再建築不可
・心理的瑕疵

〇査定価格が上がる要因
・リフォーム済
・南向き
・角地
・整形地
・駐車場2台以上
・駅近
・人気学区

11. 高すぎる査定、適正査定の見分け方

高額査定だからといって、必ずしも高く売れるとは限りません。

高すぎる査定の特徴

・成約事例の説明がない
・「絶対売れます」と断言する
・他社より極端に高い価格を提示する

適正査定の特徴

・成約事例を提示する
・根拠を数値で説明できる
・売出価格と成約予想価格を分けて説明する

12. 専門家が実際に査定するときの流れ

1.登記情報・公図・測量図を確認
2.現地調査(建物・土地・接道など)
3.周辺の成約事例を収集・比較
4.市場で販売中の競合物件を分析
5.土地・建物の個別要因を補正
6.市場動向や需要を反映
7.査定価格・売出価格・想定成約価格を算出
8.査定書を作成し、根拠とともに説明

13. まとめ

不動産査定は「勘」や「経験」だけで決まるものではなく、成約事例・公的価格・物件固有の条件・市場動向を総合的に分析して算出されます。

私たち専門家が重視するポイントは次の4つです。

・市場で実際に成約した価格(成約事例比較法)
・土地や建物の客観的な評価(公示価格・路線価・原価法など)
・物件固有のプラス・マイナス要因(立地、接道、築年数、管理状態など)
・現在の市場環境(需要・供給、金利、地域の将来性など)

これらの根拠を明確に説明できる査定こそが、信頼できる査定と言えます。